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免疫の仕組み
【免疫とは】
特定の病原体(例えば、はしか)から回復した人は、その病気に抵抗力を持ち、二度とかからないことは経験的に古くから知られていました。18世紀末、イギリスのジェンナーは、牛痘に感染している乳搾り作業者が、天然痘にかからないことに着目し、牛痘からつくったワクチン(種痘)を健康な子供に接種し、人為的に天然痘の免疫をつくることに成功しました。(天然痘は、種痘により地球上から完全に追放されました。)
19世紀末には、フランスのパスツールがコレラや狂犬病について、我が国の北里柴三郎がジフテリアと破傷風について同様のことを発見するなど、現代に通じる医学研究、成果を上げた学者が活躍しました。彼らは、これらの病気に抵抗力(免疫)のあるものを「抗毒素」と呼びましたが、今では「抗体」という用語に統一されています。
【抗体の働き】
抗体はそれぞれ相手が決まっていて、特定の抗原(細菌ウイルスなどの異物)にのみくっつきます。このメカニズムは「鍵」と「鍵穴」に例えて説明されます。 抗体の働きとしては、
1. 病原体、ウイルス、細菌やその産出する毒素たんぱく質に結合して、感染性や毒性を失わせる、(中和)
2. 病原体を固まらせて、感染源の数を減らす、(凝集)
3. 病原体の膜に穴を開ける、(溶菌)
4. 顆粒球などの食細胞の働きを高める、(貪食)
などが代表的です。
【抗体の産生】
リンパ球はBリンパ球(B細胞)と、Tリンパ球(T細胞)に大別されます。B細胞は、それぞれに定められた抗体を産生しますが、自身の数も細胞分裂によって増やさないと抗原の数に追いつきません。そこで特定の抗原に対するB細胞は、その抗原の刺激で増殖し、その抗体を産生する細胞(形質細胞)へと分化するのです。
この増殖・分化を助けるのがヘルパーT細胞です。なお、何千万種類ともいえる種類の抗原に対応するBリンパ球をいかにして準備できるかを解明したのが、利根川進博士で、ノーベル賞を贈られました。T細胞には、直接抗原を識別し、攻撃に参加するものもあります。キラTー細胞などです。
【病気に勝つカギ…抗体】
体の中に病原菌が入ってくると、白血球が戦いを始めます。しかし、今まで一度も戦ったことのない病原菌が相手では、なかなか勝つことができません。これは、白血球がその病原菌に対する「抗体」を持っていないためです。抗体と病原菌の関係は、カギとカギ穴のようにたとえられます。専用のカギを使わないとカギが開かないように、専用の抗体でなければ病原菌をおさえつけられないのです。
抗体は、白血球の一種の「リンパ球」が作ります。初めて戦う相手には、抗体をつくるのに時間がかかりますが、1度戦ったことがあれば、すぐにたくさんの抗体をつくることができます。 これを利用したのが「予防接種」です。弱い病原菌を注射して抗体を作ったり、他から抗体を持ってきて戦った経験を教えてもらうことで、病気の予防をするのです。
Reported By Peter McCallum
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