2007年3月22日木曜日

頭の回転を良くするホルモン

オールトBB株式会社      
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               頭の回転を良くするホルモン

よくかんで食べれば、腸では腸の血行を、脳では頭の回転をよくするホルモンがでるよくかむことの効用は大きい。

人間の祖先は、約350万年前にアフリカに現れたアウストラロピテクス(猿人)とさています。この猿人の脳の体積は、チンパンジーよりやや大きいくらいでした。ところが、私たちの脳は、この350万年の間に発達して約三倍の大きさにまでなったのです。

350万年と言えば非常に長い時間のように感じます。しかし、三五億年前に地球上に生命が誕生したことを考えれば、ごくごく短い時間に他なりません。(3万5千分の1)では、なぜ、私たちの脳は短い期間でこのように急速に発達したのでしょうか。その大きな原因は、二本の足で直立歩行をするようになったこと。直立することによって、手足が自由になり、さまざまなしげきが受けやすくなります。

手や足からの刺激は、脳の体性感覚野と呼ばれる部分に伝えられ、そこから指令が脳のさまざまな部分に発せられる結果、脳の働きが全体的に活発になるのです。 脳が、急速に発達した原因としてもう一つ、あまり知られてはいませんが、大変重要なことがあります。

それが、咀嚼運動、つまりよくかむこと。あごを動かすと、その刺激は手や足からの刺激と同じように体性感覚野の広い範囲に伝わり、脳の働きがぐんと活発になるのです。その効用は、手や足を動かすことよりも、はるかに大きいといわれています。人間は、猿人から、原人・旧人・新人と進化してきましたが、火で焼いた肉を精咀嚼(細かに、ていねいにかみ砕くこと)するようになった旧人の脳は、精咀嚼の経験の無かった原人の約二倍の大きさがありました。

このことからも、ものをよくかむことによって、どれほど脳の発達が促されてきたのかが分かります。しかも、かむことの効用は、私たちの予想をはるかに超えたものであることが、最近になってよく分かってきました。

例えば、食べ物をよくかむと唾液が分泌されます。唾液は、強力な消化酵素(酵素とは、体内の化学反応を助けて活発にする成分)を含んだ消化液ですが、そのほかにも殺菌作用のある成分や発ガン物質の働きを抑える酵素も含まれています。

腸からも脳からもホルモンが分泌されるそればかりではありません。よくかむことによって、腸などの内臓からは腸の血行をよくするホルモンが、そして脳からは頭の回転をよくするホルモンが分泌されるのです。よくかんで食事をすると、だいたい二時間後に十二指腸とのどの近くから、CCK(コレシストキニン)という、腸の血液循環をよくする働きのあるホルモンが分泌されるのが知られていました。

ところが、最近になって、腸で働いているホルモンが脳でも分泌されていて、脳の神経伝達物質(神経細胞の信号を伝える物質)として頭の回転をよくしているのが分かってきたのです。そのため、今ではCCKのようなホルモンは「脳腸ホルモン」とさえいわれるようになってきました。

なおCCKは視床下部(脳のほぼ中心にあり、性欲や食欲など、人間の欲求を作りだしている部分)を介して、記憶や学習にはかかせない海馬と呼ばれる部分に影響を与えます。この海馬が弱ってくると、いわゆるボケが始まります、ボケの代表的な病気であるアルツハイマー型痴呆も、海馬の萎縮が特徴の一つになっています。

一見すると、脳と腸は関係がないように思えますが、簡単にいって、人間の体はチューブ(管)でできていると考えれば、その関係も理解しやすいかもしれません。腸もチューブですし、神経もチューブです。それらのチューブがお互いに刺激しあいながら、体液という水の中に浮かんでいるのが人間の体です。しかも、それらのチューブは、全部つながっていて、そのチューブの端にあり、チューブが膨れ上がったものが脳なのです。場所が離れていたとしても、腸にあるホルモンが脳にあって、脳にいろいろな影響を与えていたとしても少しも不思議ではありません。

もう一つ、つけ加えましょう。よくかんで食事をした後、同じく二時間後に脳内にFGF(フィブロブラースト・グローイング・ファクター)という脳内ホルモンが分泌されますが、これも視床下部を介して海馬に働きかけ、頭の回転をよくしてくれます。

したがって、朝食をよくかんで食べ、それから出勤したり、登校したりすると、ちょうど仕事や勉強が始まるころにCCKやFGFが分泌されて、頭がフル回転できるようになります。ところが、朝食を抜いてしまうと、午前中はこれらのホルモンが不足して、頭がぼーっとして仕事や勉強の効率が悪くなってしまうのです。朝は忙しいから、あるいはダイエットのためだからなどと称して、朝食を抜いてしまう人がたくさんいるようです。これは、頭と体にとって実にもったいないことです。

それに、朝食を抜いて一日二食にすると、一度にとる食べ物の量が増え、かえって肥満になります。食事は、きちんと三度とりましょう。また、よくかんで食べることも大切です。よくかむことは、このほかにも、ボケを防ぐ、姿勢をよくする、肩こりを防ぐといった、数え切れないほどの効用があります。大いにかんで食事をしましょう。理想をいうなら、一口について三〇回はかむようにしたいです。

Reported by Peter McCallum

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